『道行再考』はどんな作品?
能や文楽、歌舞伎などの演目に登場する5人の登場人物をとりあげ、それぞれの人物が辿った道のりを舞台にした5編の小品集の形をとった現代演劇作品。木ノ下裕一氏より“古典の現代化”の手法を学んだ成果として、『道行考』というタイトルで創作されました(詳しくはこちら)。
古典の作品や登場人物がどういった描かれ方をしてきたかという歴史的変遷、またその人物が実際に歩いた道のりや見ていたであろう風景を踏まえるため、各作品ごとにリサーチ班を結成し、文献やフィールドワークによる研究を重ねました。古典を題材にしつつ、現代という時代に上演されるべきものとして、新たな視点の発見やアップデートに挑んだ作品です。脚本は、受講生のうちの5名がそれぞれの作品を担当。講師の木ノ下裕一氏・林慎一郎氏からの講評を経て書き上げました。
取り上げたのは、「平知盛」「巴御前」「六条御息所」「俊徳丸」「“芦刈”の妻」。彼・彼女らは霊的な存在となって現代に現れ、大切な思い出のある土地での「道行」、またその道程で出会う旅人(能でいうところの「ワキ」的な存在)とのやりとりを通して、自らの人生を振り返ります。小編を一作ずつ取り出して上演しても完結しますが、通し上演をすることでひとつの大きな物語ともなる作品です。
タイトルを『道行再考』と改め、稽古や脚本推敲を重ね、2023年4月に自主企画公演として、アイホールで全幕通し上演しました。